「かぼちゃひこうせん ぷっくらこ」レビュー アクション性豊かな哲学的物語
今回パパが紹介するのは、この絵本
タイトル:「かぼちゃひこうせん ぷっくらこ」
ぶん: レンナート・ヘルシング
え: スベン・オットー
やく: 奥田 継夫、木村 由利子
古本屋さんで見かけ、絵柄が気に入ったので内容も知らず買いました。
絵本多しといえど、なかなか自分の好みに合うものがありません。
しかしこの「かぼちゃひこうせん ぷっくらこ」」これはドンピシャでした。
とはいえ文字もページ数も多くて、まだ1歳過ぎの娘には早いかなと思っていたのも確かです。
すごくインパクトのある絵があるわけでもなし、仕掛けもなし、主人公となる熊の絵もリアル路線で、興味をひかれないのではと。
少なくとも最後まで話を聞いてもらえるはずがない!
ところがどっこいです。
一回目から、ちゃんと最後まで静かに聞いてくれました。
自分の好みを押し付けるのは良くないとも考えていたものの、
「さすが自分の娘!」
となんだか誇らしくなった次第です。
「かぼちゃひこうせん ぷっくらこ」は、どんな絵本?
おおくまくんとこぐまくんが主人公です(といっても、極端に大小があるわけでもないので、違いは子供にははっきりわからないかも)。
二匹の熊が種を拾うところから始まるのですが、庭に植えたところ、やがてそれが大きくなって…。
表紙やタイトルからわかるのでネタバレしますが、種から出た実は大きくなって、しまいには空も飛んでしまいます。
「かぼちゃひこうせん ぷっくらこ」における、学習ポイント
おおくまくんは、
「〇〇もまたたのし、〇〇すれば」
というのが口癖です。
こぐまくんは、がっかりしたり、あきらめたりしがち。
それをおおくまくんが、華麗にフォローして、前向きな方向に持っていくのです。
逆境に発想で対抗するその姿勢。
まさに、今の子供たちに求められていることではないでしょうか。
そして、さまざまな動作が実はたくさん盛り込まれています。
「植える」「運ぶ」「履く」「のぞく」「掘る」「食べる」「釣る」「割る」
思考と行動で、どんどん前に進んでいくわけですね。
2歳頃になれば、娘もこういった動作をわかってくれるかなあ、と。
哲学的で詩的?な内容に、大人もなんだか「ほぉ~」となる
娘が最後までこの話を聞いてくれるのはなぜだろう?と考えてみました。
途中で自分も参加できるような仕掛けがあるわけでもありません。
よく知った動物や食べ物が出てくるわけでもありません。
絵柄がかわいい、次に何が起こるのか?という興味、がまずあるでしょう。
そして、おおくまくんとこぐまくんの軽妙な会話がミソなのではと思い至りました。
訳がとてもきれいで、詩的。そして疑問形や、思い切りの良い断定、ぼやきなどが入り混じっています。
登場人物がこうやってなんだか色々しゃべっているのが、面白いの、かも。
もしくは(この絵本好きだなあ)というパパの気合いが伝わって、しぶしぶ付き合ってくれているのかも!
この絵本はとっても哲学的で、最後にとんでもないセリフがあります。
「いるかいないか わからない
ふしぎなくまを のせながら」
フィクションだと大人はもちろんわかっていても、子供向けにはあくまでそういう世界が「どこかにある」という前提で語るはずですが、なんと「いるかいないか わからない」とは! 親としては、これを子供にどう説明していいのやら?
子供は特に気になったりしないかもしれませんけどね。
なんだか疲れたとき、こっそり一人で読むのもまたたのし、かな、こぐまくん。